shisouhan’s blog

人間と技術との関係について、思っていることを書いています。

陰のない暮らし

ある部屋に入ったときにふと気付いたことが、僕は日光が差し込んでいる部屋でも電灯を点けてしまうことだった。もちろん作業内容によっては部屋は十分に明るい方がいい。けれども、そういう判断をいちいちせずに、昼間から当たり前のように電灯を点けてしまっていることがある。

 

考えてみると、人のいる部屋は夜が一番明るいのかもしれない。そこは電灯によって隈なく照らされている。昼間に太陽光が差し込んでいるだけの部屋よりも、よっぽど明るい。いつしかそれが標準の感覚のようになってしまい、昼間から電灯を点けてしまっているのかもしれない。僕たちは『陰のない暮らし』をしているようだ。

 

東日本大震災の直後からしばらくは、「計画停電」というものがあって、高校の行き帰りの電車の中はいつも薄暗かった。けれども、それはただ「薄暗い」のではなくて、窓からの日の光と、車体でできた陰で、電車の中ははっきりと光と陰に分かれて、それでも人は電車を利用していたのを、今でも憶えている。