陰のない暮らし・その2
電灯があることで、人間は午前2時まで仕事ができる。 それ以上もできなくはないが(僕は2時までもできないが)、 大抵の人はそのあたりのタイミングで寝るだろう。「 日が暮れたら寝る」という慣習を外れて、 人間の活動限界は技術によって生物のキャパシティのぎりぎりまで広げられてい る。
電灯があることで、人間は進化したのだろうか。 たしかに人間は午前2時まで仕事ができるようになった。ただ、 午前2時まで仕事ができるようになることは、 午前2時まで仕事をしてもいいという考えを生んでしまっているか もしれない。
技術は人間の可能性を広げ、 同時に人間の可能性を制限しているようだ。 その技術がなければ、実はこうできていたのかもしれないのに…。 そんな空想になってしまうかもしれないが、 何かができるようになることは、 何かができなくなることの裏返しであることを、 自覚しなければいけないと思う。